NEWS

お知らせ

2025.05.24

CATEGORY

フィッティングメソッド

眼鏡フィッティングにおける計測・調整の体系的アプローチ

 

 


 

1.一次計測( ヘッドサイズ・テンプル長・瞳孔間距離PD )

ヘッドサイズ計測

瞳孔間距離計測

枠型式 計測

計測ツール(眼鏡型)

 

快適な眼鏡を導き出すために必要な計測(ヘッドサイズ・PD)を丁寧に計測します。

眼鏡枠がお顔にジャストフィットし、最適な視力と歪み少ない視界を導き出すために必要なチェックとなり、

この計測が最適なフレームを合理的に導き出す最初のステップです。

 

 

 

 

顔幅の測定時には、最新の注意を払い顔形状を観察します。

こめかみ部分は左右で張り出しが異なることもあり、テンプル開き幅も左右で異なる状態にする場合があります。

 

左右差を考慮しない場合、眼とレンズの距離が異なり見え方の問題が起こりえます。

この事前チェックは最終フィッティングにも影響するため、記録を残しておきます。

 

 

 

また、同時に耳介(耳の付け根上部)までの長さの計測。

左右差があることもあります。

レンズの光学中心を捉え、快適な視界を得るために、

PD(瞳孔間距離)を鼻梁を中心として左右計測します。

 

 


 

2.二次計測(耳介の高低差・鼻梁確認・傾斜角)

 

印象材

鼻型採取(鼻盛り加工時)

テンプル長計測

傾斜角 計測

 

枠を装用した際に、前枠のレンズ面を最適角度へ導くための数値を割り出す行程です。

耳介の奥行や高さの違いも差分を記録します。

セルフレーム希望の際、参考枠をかけて下がりやすい等、

カスタム加工が必要な場合、セルフレーム用の鼻の形状を採取します。

 

印象材:

二種のパテを均一色になるまで20秒ねつ和(捏和)し、鼻梁に載せ3分間保持。

外して、もう一つ二種を混ぜたパテをねつ和し、①に押し込み

3分程度し、硬貨したら②を外す。鼻型の採取となる

眼鏡枠の鼻盛り加工後、③との接面に適した鼻盛り部品の削り・磨きを実施

 

傾斜角:

耳の位置への対応 ヨロイ、丁番などの角度調整で傾斜角10~15°へ

①高い場合: 傾斜を緩くする加工  ②低い場合:傾斜を強くする

 


 

3.一次診断 (最適なフレームサイズ・似合うデザインの診断)

一次計測と二次計測により得られたデータを、診断用紙に記載しておきます。

これにより最適な推奨フレームサイズ(以下FPD)、推奨フロント横幅が導き出されます。

 

診断チェックシート

最適サイズ

TPO×トレンド×シェイプ

顔型×トレンド×シェイプ

 

 

次に、上記の顔型・TPOによる推奨型を導きだしていくため、

上記のメソッドを基に診断を実施します。

これにより、似合うメガネの方向性を合理的に提示し、

ユーザーの方々に気づきを与えるアドバイスが可能となります。

なお、好みなどは二次診断で対応します。

 


 

4.二次診断(ヒアリング・診断 、店頭陳列の商品等から、アイテム選定)

 

似合う色や好みなど、店頭フレームを計測した推奨サイズやTPO、

どのようなイメージを求めているのかを踏まえて提案し試着を促します。

 

例)面長顔系、カジュアル系、 推奨FPD62-64、  推奨フロント幅135-140mm

 

ジャストサイズとワンサイズ上を用意。好みの形やサイズの傾向をつかみます。

     ∟オールプラ / オールメタル / コンビ /リムレス /等 各2種ずつ

 

好みの形が分かれば手肌に合わせ、好みの色を引き出していきます。

 


 

5.一次調整(プレフィッティング、装用習慣を考慮したアイポイント)

 

アイポイントとは、メガネ枠を掛けた時の瞳の高さの位置を示します。

 

 

ユーザー選定の未調整状態の枠を試着した際の状態を察知し、

アイポイントの位置が

明らかに適正位置からずれている場合(上図A)の場合は、プレフィッティングを実施し

瞳の位置が上図(B)のような、適正位置で掛けられる状態を確保します。

A ミスサイズ

B ジャストサイズ

 

プレフィッティング時には必要に応じて、

耳介の左右差に合わせた 丁番角度調整、

テンプル幅、パット位置調整などを実施します。

 

これによる効果は、装用習慣に対応したレンズ加工前の事前チェックが行え、

最終フィッティング時の不快感等を未然に防ぐことが可能です。

 

次に、アイポイントチェックや視線確認・ミラーテストなどを実施します。

 

アイポイントマーキング

ガイドシールチェック

ミラーテスト

 

 

アイポイントチェックの際の留意点

顎が上がる習慣があるかどうか

手元を見るときにまえのめりに見ている習慣、

斜めで見る習慣があるかどうか

目線の動きが左右方向で異なる角度かどうか、

眼を寄せる力があるかどうか 

 等、

 

様々な習慣があります。

特に無意識に習慣がついている状況を観察し、

それぞれの習慣や特性に合わせた対処を実施します

 

 

 


 

6.二次調整(最終パーソナルフィッティング)

 

 

最終フィッティングは、前工程(計測・診断・事前プレフィッティング等)で

段階的に導き出した合理的な診断や数値を元に、

装用状態の最適化を図る最終工程となります。

 

左右で顔形状の異なることがあれば、ユーザーに事前に伝えたうえで、

フレームの左右非対称化にすることがあります。

目的は、目とレンズの距離(頂点間距離)を左右同じ状態にすることです。

そのためフレーム形状を変化させる(テンプル開き角度、クリングス角度、テンプル傾斜等)ことで、

快適な装用感に近づけることが可能となります。

ミスサイズ

ジャストサイズ

 

最初の段階で、装用習慣を把握しているため、

ユーザーが毎日使用してもアイポイントのずれや装用のずれなどのリスクも軽減でき、

「快適なメガネ」を提供することにつながります。

 

最終段階の“合理的なフィッティング”を丁寧に実施することで、

眼鏡の装用感および視機能の最適化につながり、かつ価値あるものとして、

ユーザーの製品の愛用とメガネフレーム産地への愛顧につながる一助になればと考えます。

フレーム一覧を見る

Translate »